金沢で出会った大人の恋:40代後半の私が見つけたぬくもり

私は40代後半、金沢の街に暮らしています。
数年前に離婚を経験し、子どもはいません。
今は高齢の母と二人暮らしで、平日は派遣社員として事務仕事をこなし、週末はイベントスタッフの仕事を掛け持ちしてなんとか生計を立てています。
それでも、古都の情緒あふれる金沢の街並みや、移ろう四季の美しさに触れられる毎日は、それなりに充実していると感じていました。

けれど、離婚で疲れきった心には、「もう恋愛なんてこりごり」という固い壁がありました。
40代後半という年齢もあって、正直なところ「今さら恋人なんて必要ない」と思い込んでいたのです。
しかし、この金沢の街で暮らすうちに、そんな私の心をそっと溶かしてくれる、思いがけない出会いが訪れるとは思いもしませんでした。

目次

離婚後の生活と母との暮らし

私が離婚したのは、3年前のことでした。
理由はいろいろありますが、お互いの価値観や仕事のスタンスが合わなくなり、次第に会話すらままならなくなってしまったのです。
結婚生活は17年ほどでしたので、離婚を決意したときは大きな虚無感に襲われました。

母は私の心配をして、「一緒に暮らそう」と提案してくれました。
最初は「大人になってから親と同居なんて……」と抵抗もありましたが、母も年齢を重ねて体力が落ちている時期。
私自身も誰かの助けが欲しかったこともあり、結局、金沢市内にある母の家で暮らすことにしたのです。

仕事と週末のイベントスタッフ

現在は派遣社員として、平日の日中にオフィスで事務やデータ入力の仕事をしています。
さらに、週末はイベントスタッフの仕事をしています。
金沢は観光地として全国から人が訪れる街ですので、週末や連休になると様々なイベントが開催されます。
そこで多くの人と触れ合ううちに、離婚後の暗い気持ちも少しずつ晴れていきました。

慢性腰痛を抱えながらも前向きに

若い頃から腰痛に悩まされてきた私は、長時間の立ち仕事が続くと痛みに襲われることがあります。
それでも、お客様や仲間の笑顔に触れると乗り切れるのです。
「痛みと上手に付き合いながら、人生を楽しもう」
そんな前向きな気持ちを取り戻せたのは、大きな転機でした。

金沢で訪れた不思議なご縁

ある休日、街歩きツアーの誘導係をしていたとき、一人だけ遅れてついてくる男性がいました。
その人は同年代の40代後半で、地方都市で自営業をしているそう。
雑談の流れで連絡先を交換し、のちに金沢駅近くのカフェでおしゃべりするようになりました。

SNSが苦手でも通じ合える繋がり

私もスマホは持っていますが、SNSはあまり使いません。
彼もSNSには消極的で、主に仕事や家族との連絡で最低限しか使わないそうです。
「SNSが苦手な人同士、気が合いますね」
そう言い合って、初めて二人だけで過ごす時間はとても穏やかでした。

心の壁が少しずつ溶けていく

離婚後、私は「もう一人でいい」と思っていましたが、彼との会話は不思議な安心感を与えてくれます。
同じ40代後半ということもあり、お互いの人生に共感できる部分が多いのでしょう。
過去の傷ついた記憶は消えませんが、誰かに聞いてもらうだけでこんなに楽になるのだと気づかされました。

母への想いと新しい恋の予感

私は母と同居しているため、彼と会うときは母の体調や都合も気になります。
でも、彼は「お母さんも一緒にどうですか?」と気遣ってくれる優しい人です。
母も「あなたが幸せならそれでいい」と応援してくれて、離婚で疲れきった私の心は少しずつ色づきを取り戻しています。

40代後半で見つけたぬくもり

離婚を経験して、心に傷を抱えたまま暮らしていた私。
しかし、金沢の美しい街並みの中で出会った彼との時間が、私に新しい人生のステップを示してくれました。
40代後半でも遅くない。
人は何度でも、ぬくもりを見つけ直すことができるのだと実感しています。

人生の再スタートに遅すぎることはない

古き良き伝統と新しい文化が交差する金沢の街で、私もまた新旧の感情が入り混じりながら前を向いて歩いています。
一度失敗したからこそ、次はゆっくり丁寧に相手と向き合おうと思えます。
「もう一度、私らしく歩き出そう」
そんな決意を胸に、今日も金沢の空気を深く吸い込んで暮らしています。

目次